環瀬戸内海会議が総会・シンポジウムを開催しました【水島~玉島】
- 5 時間前
- 読了時間: 4分
2026年7月11日~12日、環瀬戸内海会議の現地視察と、総会・シンポジウムが倉敷市で開催されました。
11日の現地視察では、環瀬戸内海会議の会員のみなさんを、通生海岸、高梁川河口、人工島・玉島ハーバーアイランドへご案内しました。
通生海岸に残る自然海岸、高梁川河口の干潟、埋立てが続く玉島ハーバーアイランドを巡りながら、水島開発によって失われた環境と、現在も残されている自然、これからの環境回復のあり方について考える機会となりました。
環瀬戸内海会議は、瀬戸内各地でゴルフ場やリゾート開発が相次いだ時代に、開発に歯止めをかけるため結成された団体です。立ち木トラストをはじめ、産業廃棄物、海砂採取、埋立てなど、瀬戸内海をめぐるさまざまな問題に取り組んできました。
現在の瀬戸内海が、さらなる大規模開発を免れてきた背景には、環瀬戸内海会議をはじめ、各地で長年活動を続けてこられた方々の力があったのだと思います。
シンポジウム~「水島開発」を問い「磯浜復元」のあり方を探る~
12日には、水島愛あいサロンで、シンポジウム「『水島開発』を問い、『磯浜復元』のあり方を探る」を開催し、22名が参加しました。
はじめに、公益財団法人水島地域環境再生財団のみずしま財団・塩飽敏史さんから、「水島の地域開発の歴史と環境再生の取り組み」と題してご講演いただきました。
水島臨海工業地帯がどのように形成され、地域の暮らしや環境にどのような影響を与えてきたのか。公害を経験した地域で、環境再生に向けた活動がどのように続けられてきたのかをお話しいただきました。
続いて、当会から「玉島地域に残る干潟と埋立て代償計画の現状」について報告しました。玉島ハーバーアイランドでは、現在も46ヘクタールの埋立てが進められています。その環境保全措置として計画された10ヘクタールの人工干潟は、長年にわたり事業が休止されたままです。 一方、埋立途中の土地には、浅い水域、湿地、ヨシ原、草地などが生まれ渡り鳥をはじめ、多くの生きものの生息する豊かな場所になっています。
実現の見通しが立たない人工干潟を待ち続けるだけではなく、今ある環境を残し、活かす方法も含めて、公開の場で検討する必要があることを報告しました。
次に、豊島産廃事件を闘い、現在も自然回復に尽力されている石井亨共同代表から、「豊島の自然回復に向けて-瀬戸内海と豊島事件 自然海岸化へ-」と題してお話しいただきました。産業廃棄物の撤去が終われば問題が解決するのではなく、傷ついた土地や自然、人と人との関係をどのように回復していくのか。長い時間をかけて今も続く自然回復の道のりが語られました。むすびには土地再開発構想の提案に、再びここで豊島住民がお互いの対話を通して学び、成長することができるのか試されているとされました。
ここで湯浅一郎共同代表からかつて瀬戸内海有数のアマモ場が広がっていた水島で、「劣化した生態系の再生」をどのように考えるのか、磯浜復元を一つの方法として問題提起がありました。埋立てによって海域ごと失われたアマモ場や、海砂採取によって海底に残された巨大な採取跡。その規模を知ると失われた環境の大きさ、海域に与える影響の計り知れなさに会場からはため息が聞こえてきました。
私たちは、どこまで豊かさを追い求めるのか
今回のシンポジウムでは、マイクロプラスチック、終わることのない航路浚渫、地球環境の限界を示すプラネタリー・バウンダリーなど、さまざまな課題が取り上げられました。
「ネイチャーポジティブ」を掲げるだけでは、失われた自然は戻りません。
便利さや経済的な豊かさもどこまでも追い求め続けられるわけではありません。資源にも環境にも限界がある中、何を手放し、何を残し、何を回復していくのかが問われています。特定の企業や行政だけに責任を負わせることでも、個人だけが窮屈な思いをしながら努力することでもなく、それぞれができることを持ち寄り、少しずつ譲り、差し出し合うことが必要なのだと思います。 だからこそ、玉島というのは、日本全体から見れば小さな地域の話かもしれませんが、玉島ハーバーアイランドの環境回復事業を、なかったことにしてはいけないと思います。
これまでの計画をただ履行するというだけでなく、今ある自然環境も生かしながら、ネイチャーポジティブの実現に資する取り組みとして、積極的かつオープンに議論されるべきものです。今回の視察とシンポジウムを通じて、その思いを改めて強くしました。
ご参加、ご協力いただいたみなさま、ありがとうございました。


コメント